9月定例会はじまる

子どもの夏休みの最終日。といって、特に何をしたわけでもなく、事務所で仕事、合間に書店に行ったりして過ごした。
今年は7月・8月に100条委が開催された関係で、6月定例会と9月定例会の切れ目が無く、通年議会の様相となった。
長い休みはとれなかったので家族旅行は短め・近場となったが、子どもは満足してくれたようだし、私自身も美しい自然に触れて良い気分転換が出来た。

さて、明日から9月定例会が始まる。通常の議案審議などに加え、9月は決算委員会も設置され、会期は10月3日までと長め。
そして、定例会終了後は各常任委員会の視察や市議会議長会の全国大会が青森で開催、さらに昆明との友好都市提携30周年式典に出席するための訪中、と日程は詰まっている。
その合間をぬって、100条委の審査が行われることになり、私の乏しい処理能力がフル回転することになろう。

で、このブログは100条委の話題ばかりになっているが、やはり今の市議会の最大の焦点であるのは間違いなく、実際に委員会開催後は新聞各紙も大きく紙面を割いている。

前回も触れたが、証人尋問の記録を公開をすることは、一時的にストップしている。
会議は公開が原則であり、100条委も会議場を公開、傍聴を認めているものの、なにぶん虚偽の証言をした場合は「偽証罪」に問われることになるほど証人各位にはプレッシャーがかかるだけに、会議録の公開や尋問模様を撮影することに対しては慎重になるのは当然だ。
裁判も撮影は禁止しているのだから、偽証罪など罰則規定を裁判に準じている100条委も同様の運営にするのが筋だろう。
また、「口裏合わせ」の可能性を限りなく低くする、という意味で、証人同士で互いの証言内容を確認出来ないようにしておくことも必要だ。

が、新聞各紙が詳細に書いているので、そろそろ1回目と2回目の委員会記録は公開してもよいのでは?と私は思った。
新聞、中でも、朝日新聞の紙面は図を用いて解説、記事も大きく力が入っている。
と思ったら、神奈川新聞も図入りの解説記事を翌々日に再度掲載。書き方もドキュメンタリータッチだったりして、臨場感があり引き込まれる。
毎日新聞も二日続けて掲載。市長の写真付きインタビュー記事を載せるなど、独自性があって目を引く。

という状況なのだが、前回の委員会で「まだ記録は公開しない」という結論が出たので、当ブログでもしばらく詳細な報告は控える。
とはいえ、多少はお知らせしても良いと思うので、1回目と2回目の委員会のポイントを述べておきたい。

前々回の証人喚問の成果は、売り主氏と鑑定士氏の証言だろう。

「隣地所有者の方に6000万円で売りたいと打診したが断られた」
と売り主氏は証言した。
市が取得した額は1億0850万円だ。望外の金額だった、のではないか?
この証言一つだけでも、
「市は高く買いすぎなのではないか?」
と言わざるを得ない。

また、鑑定士氏は
「当該土地は無道路地なので、隣地を買収する、あるいは約束を取り付ける必要があった」
「それを、市が怠っていた」
「しっかり確認しなかったことが悔やまれる」
という趣旨の証言をした。
自身の鑑定の前提条件が成り立っていないことを認めた、といってよい証言だった。

前回の証人喚問では、まず自治会関係者の証言が混乱を極めた。
一緒に陳情にいった自治会連合会役員氏は
「(提出当日まで)陳情書を見ていない」
??
9月19日に場所を特定した際に同席した役員氏は
「なぜ自分が同席したのか分からない」
??
会長にいたっては、
「当該土地(付近)がいい、と特定していない」
と連合審査会での自身の発言から大幅な変更。
しかし、市は
「陳情を受けた翌19日に、改めて会長に来て貰い(当該土地がいいと)特定してもらった」
としている。これは、連合審査会の時から変更は無い。

それにしても、ならば自治連会長は翌日何をしに行ったのか?と思うが、いずれにせよ、市・自治連が互いに「場所確定」の責任のなすり合いをしているようだった。

それら場所特定の出席者全員が「9月19日」という証言を繰り返す中、最後に証言に立った元善行市民センター長
「場所の特定は10月31日」
と証言。
市は「場所の特定は9月19日だ」とこれまで繰り返し説明し、説明資料まで作成し議会に提出している。
この9月19日については、当該土地取得の要望を否定した自治連会長なども「陳情の翌日に役所に行った」としている中、元センター長は10月31日だったと、ひとり全く異なる日付を述べ、他の証言をひっくり返してしまった。
これが正しいとすると、市のシナリオは完全に破綻する。

なぜか。
9月22日に、陳情書が農業水産課に送付され、陳情内容が実現可能かどうか、検討するように指示が出ている。
このとき、場所は特定されている。
「『市民農園の設置を求める』という陳情が出た。場所はここだ。この条件で、市民農園を市が取得・設置できるかどうか検討しなさい」
という事だった。

ところが、9月18日の陳情当日は、自治連側は「どのあたりがよい」ということまでは要望していない。
ので、翌19日にあらためて陳情者に役所に来てもらい、場所を決めてもらった、というのがこれまでの市の説明。
これ自体、大変不自然だと私は思うが、22日に農水課に書類が回った時には場所が決められているので、陳情翌日の19日から22日までの間に場所が特定されていなければならないのだ。

9月22日に、(市長あるいは副市長の命を受けた)市民自治部長から経済部に検討要請がなされ、農業水産課がそれ以降の動きを経過記録を作成し残していた。
それが流出、新聞紙上に掲載され疑惑が火を噴いた。市側は火消しに躍起となるも、
「歴とした起案書」
であるこの文書の中身を全否定は出来なかったのだ。

で、20日は土曜日、21日は日曜日なので、19日しか場所を特定する日は残されていない。
市は、あくまでも「自治会連合会から場所まで含めて要望された」と説明しているので、こういう話になる。

それを、場所特定に同席した元センター長は10月31日とした。
自身の手帳や記憶を元にすると、この日以外に考えられない、と断定。

これは大変なことになった。
市は、
「実際には陳情があろうがなかろうが、始めから『取得前提』で事を進めていたのでは?」
という私たちの疑念を裏付ける証言が飛び出したのだ。
さらに、市は土地公社に対し当該土地の先行取得を依頼したわけだが、その起案文書の日付は「10月20日」。
10月31日に場所を特定したのでは、一連の動きは全く辻褄が合わなくなる。

もう一度おさらいしたい。
今回の疑惑は、
1.土地取得の必然性はあったのか?
2.価格は妥当だったのか?
ということ。

前々回の100条委では、上記2.について、市の正当性は大きく揺らいだ。
そして、前回は1.についての疑念が一層深まった。

市は、これまで
「9月18日に、自治会連合会から『市民農園設置』を求める陳情書を受け取った」
「陳情書には設置を希望する場所が具体的に示されなかった」
「ので、翌19日にまた来てもらい『どこが希望地か』ということを自治連側に示してもらった」

と説明してきた。そして、そのような
「報告文書を議会に提出」
している、ことを強調したい。

これが「10月31日」が事実だとしたら(私はこの証言を支持する)、議会に対する重大な背信行為であろう。そればかりか、100条委での偽証罪の適用に値する。
現状では証拠書類は元センター長の手帳があるだけで、他にそれを裏付ける証拠や証言があるわけでは無いが、100条委の委員である私たちと市執行部はともに重大な局面を迎えていることは確かだ。

次回は当時の農業水産課の職員を中心に証人尋問することになっており、市が苦境に立つ原因となった「農業水産課の経過文書」の作成当事者も出席する予定だ。
真相解明に向けての大きな山場となるだろう。