地域経営会議の過去記事その2 懸念が現実に

昨日に引き続き、地域経営会議について。
今回も昨年の3月に書いた記事を再掲し、当ブログをお読み頂いている皆さんに問題提起をする予定だ。
が、その前に、土地問題との関連を説明したい。なるべく簡潔にいきたいところだが、申し訳ないが長くなりそうな…。

さて、これまでも何度も繰り返してきたが、土地問題の焦点は大きく言って
1.土地取得には必然性が見当たらない
2.市の取得価格が不当に高額
の2点。
監査にせよ、裁判にせよ、上記の二つが争われた。
で、4人の監査委員のうち、市に不当性はない、という委員もいた。
この点については、法を見てみよう。

地方自治法 第百四十八条
普通地方公共団体の長は、当該普通地方公共団体の事務を管理し及びこれを執行する。
同法 第百四十九条
普通地方公共団体の長は、概ね左に掲げる事務を担任する。
一  普通地方公共団体の議会の議決を経べき事件につきその議案を提出すること。
(二~五略)
六  財産を取得し、管理し、及び処分すること。
(七 、八 略)
九  前各号に定めるものを除く外、当該普通地方公共団体の事務を執行すること。

このように、
「自治法で長の執行権は『広範にわたり担保され』ており、件の土地取得も市長の執行権の濫用とはいえない」
という理由から、善行の土地取得を了とした監査委員もいたわけだ。
これはある意味その通りであろう。
裁判でも、この点が争われることになり、市の不当性に関して相当な証拠がない限り、市長の裁量権を覆すことは難しいとも思う。

だが、私はというと、言うまでもなく
「今回の土地取得は市長の執行権の濫用ではないか?」
という立場をとっているので、追求をやめないわけだ。

で、何度も言って恐縮だが、
今回の土地取得は
1.土地取得の必然性
2.取得金額について
に焦点を絞って審査してきたし、それで間違っていないだろう。
だが、これは、ある意味では「表向き」のハナシだ。
実は、もう一つ、重大な問題が潜んでいる。

それは、
「住民組織を使い、地元住民要望を偽装したのではないか?」
ということだ。
前回の証人尋問で、市側と自治会側の食い違いは甚だしく、まるで責任をなすりあっているような有様だったことは前々回の記事で伝えた。
なぜ、こういうことが起こるのか?

なにぶん3年前の出来事であるので、多少の日時のズレなどは理解できるが、
「善行地区内の、どの辺りに市民農園を開設して欲しいと要望したのか?」
という、いわば核心部について、陳情を提出した本人の証言が以前議会に出席した時と様変わりしている。

陳情当事者である自治連会長氏は、陳情を出すくらいだから、さぞかし市民農園設置を強く願っていたのだろう。
だが、実際は紙切れ一枚出してオシマイ。
その後の経過説明を市に求めてもいないし、地元住民に協力を呼びかけるなど、何らかの動きがあって然るべきだが、何もしていない。
一言でいって、自治連側に当事者意識が全く見られないのだ。
実際、農業水産課作成の経過報告書にも、
自治連会長氏の談話として「陳情については、議員に名前を貸しただけなので詳しく分からない」という記述があるのだ。
一体全体どうなっているのか???

行政は、自らが何らかの事業を進めたい場合、それを「地元の要望・理解がある」ことを根拠にすることがままあるが、実際には「やらせ」だった、というのは国・電力会社の姿を見れば納得であろう。

ということで、これまで、市行政とその周辺にいる人々に焦点があたっていたが、地元自治会も俎上にのる話に発展してきたことは、前回の証人尋問でほぼ明らかになったと判断し、あらためて今回の土地取得について、整理したい

善行農地取得の問題点
1.その土地を取得する必然性はあったか?
2.取得金額は妥当だったか?
3.取得理由の根拠として、住民組織からの要望を偽装したのではないか?(3’として、それを承知で、自治会は協力したのか?という点も問われる)

これまでの1.2.に加えて、あらたに3(と、それに続く3’)についても、審査していかなければならない。
このことが、私が「地域経営会議に対して危惧を持つ」理由につながっている。

以上、土地問題と地域経営会議、それらを進めようとしている現市政の問題点はつながっている、ことをご理解いただけただろうか。
昨年の記事にも、法第149条を引用している。
私たちのように「市長に問題アリ」と主張する際、最大の障壁になるのが「市長に認められた裁量権」ということになる。だから、何度でも登場することになるわけだ。
お読み頂いている皆さんは、長い説明にウンザリであろう。
大変申し訳ないと思うが、このことを外して現市政を語ることはできないと考え、敢えて説明させて頂いた次第で、どうぞご理解頂ければ幸いだ。

それでは、昨年の記事をご紹介したい。
~引用ここから~
予算案に反対
10.03.16 Tuesday

昨日予算委員会の採決がおこなわれ、我が会派は来年度予算案に反対した。
私が議員になって、予算に反対したのは初めてのことだ。
反対した理由は、総合計画反対と同様に
「地域経営会議」
に疑義がある、ということだ。

私は、地域経営会議は地方自治法「第138条の4の3」に定める執行機関の
「付属機関」
に該当するのでは、と考えている。

~地方自治法から引用~
第二節 普通地方公共団体の長
法第百三十八条の四

3.普通地方公共団体は、法律又は条例の定めるところにより、執行機関の附属機関として自治紛争処理委員、審査会、審議会、調査会その他の調停、審査、諮問又は調査のための機関を置くことができる。ただし、政令で定める執行機関については、この限りでない。
~引用以上~

この条文にあるとおり、法令で設置が定められている委員会のほか、市独自の審議会などを設置することができる。だが、当然ながら、勝手に設置できるものではなく、議決が必要な「条例」による設置が要件とされているのだ。

~地方自治法から引用~
第七款 附属機関
第三節 委員会及び委員
法第二百二条の三

1.普通地方公共団体の執行機関の附属機関は、法律若しくはこれに基く政令又は条例の定めるところにより、その担任する事項について調停、審査、審議又は調査等を行う機関とする。
2.附属機関を組織する委員その他の構成員は、非常勤とする。
3.附属機関の庶務は、法律又はこれに基く政令に特別の定があるものを除く外、その属する執行機関において掌るものとする
~引用以上~

「地域経営会議」の事務局は各センターに設置され、年200万円程度の運営費をもらい政策立案をおこなう、ことになっているのだが、これでは自治法にある「執行機関の付属機関」そのものであり、設置するのならば条例によらなければならないはずだ。

だが、現状は要綱による設置に過ぎない。これは法令及び条例による設置を定めている自治法202条に触れるのではないか、と市側を質すと
「市長の裁量権の範囲だ」
ということだった。

~地方自治法から引用~
法第百四十八条
普通地方公共団体の長は、当該普通地方公共団体の事務を管理し及びこれを執行する。
法第百四十九条
普通地方公共団体の長は、概ね左に掲げる事務を担任する。

一  普通地方公共団体の議会の議決を経べき事件につきその議案を提出すること。
二  予算を調製し、及びこれを執行すること。
三  地方税を賦課徴収し、分担金、使用料、加入金又は手数料を徴収し、及び過料を科すること。
四  決算を普通地方公共団体の議会の認定に付すること。
五  会計を監督すること。
六  財産を取得し、管理し、及び処分すること。
七  公の施設を設置し、管理し、及び廃止すること。
八  証書及び公文書類を保管すること。
九  前各号に定めるものを除く外、当該普通地方公共団体の事務を執行すること。
~引用以上~

つまり、市長の執行権にもとづき設置された会議であり適法だ、という言い分だ。
だが、「202条の3」との関係はどうなるのか?
執行権の濫用ではないだろうか?

これが認められるのなら、極端な話、公金を使って市長の後援会を各13地区に設置する、ということも認められてしまうのではないか?

事実、地域経営会議は、原則「各地区委員は20名」となっているのに「市長が特別に認めた場合」には増やせるようになっており、ある地区では委員が30人を超えている。
経営会議内部に市長のお気に入りを増やそう、と思えば簡単に出来てしまうわけだ。
だからこそ、付属機関を設置する際には法令あるいは条例による設置を条件にすることで、恣意的な運用や委員の人選を牽制する、というのが法の精神だと思うのだが?

また、市は「地域経営会議」は藤沢独自の方式で全国に誇れるものだ、と胸を張っているが、もっと進んだとり組みは各地でおこなわれており、地域自治区等の現行制度の焼き直しにすぎない、と私は思う。
さらに、以前も触れたが、「意思決定機関」と謳いながら、当たり前だが「地域経営会議の決定は最終決定ではなく(議会による)議決が必要だ」と矛盾したことを平気で言っている。
全くもって意味不明、としか言いようがない。
いずれにせよ、地域経営会議は大きな問題をはらんでいる。引き続き精査していきたいと思う。
(以上、過去記事からの引用)

とりあえず、地域経営会議については、今回でひとまず終了。
懸念していたことが、残念ながら現実になってきた。

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