善行土地問題の過去記事

地元の有力者が市に土地を買って欲しい、と考えた。
そして、有力市議が橋渡しを引き受けた…。
ここから、今回の土地問題が始まった。

新井副市長は09年9月定例会の答弁では
「市民農園設置の地元要望を受けて取得の検討に着手した」
としていたが
陳情に関わらず「土地取得ありき」だったことを裏付ける内部文書が新聞にすっぱ抜かれた途端、12月定例会では一転、土地の売却希望に応えたことを認めた。

市は一連の土地取得は「違法ではない」どころか
「開発によって周辺一帯の価値があがるから良いじゃないか」
と開き直っているようにも見える。
市側の不誠実な議会答弁は問題だが、本件の核心は
土地取得過程
土地価格の決定過程
のあり方だと考える。

まずは土地の取得過程について見てみたい。
2008年7月初旬
議員から善行市民センターに
「地域で活用して欲しい土地があるので市で取得し、活用できないか」
と相談があった、と市側は説明している。
「活用して欲しい」と言えば聞こえはいいが、ズバリ
「買って欲しい」だろう。

で、冒頭でも述べたが、市側は当初は
「08年9月18日に善行地区自治会連合会から『市民農園開設』の陳情が出されて、検討した結果、土地取得を決めた」
としていたが、実際は地元から陳情が出される前に、土地取得の検討を始めていたのだ。
議員から相談された後、現地を見に行った事を副市長自身が認めている。
そして、
「08年9月に陳情が出される前から土地取得を検討していたことを、なぜ09年9月定例会で説明しなかったのか?」
との記者の問いに対し、副市長は
「7月に見に行った土地が、9月の陳情の土地と同じとは知らなかった」
と答えた、といった新聞報道もあったが、こんな説明で納得する者は皆無だろう。

まあ、市民陳情が出される前に当該土地の取得を模索していたこと自体は認めているのだから、今一度、経緯(いきさつ)を議会でしっかりと質していきたいと思う。

また、市長は12月定例会の最終日に、わざわざ日程に追加して土地取得の説明をおこなったのだが、これも問題を残した。
件の土地は善行地区にとっていかに有用なものであるか、また市民農園が住民にとって、とりわけ高齢者にとっていかに大切なものなのか、自身の祖母の例を持ち出しパネルを用いながら切々と訴えていた。
「巧言令色少なし仁」
は言い過ぎか(苦笑)。
ともあれ、私などには到底真似できない、情感あふれる見事な弁舌ではあった。

しかし、市長のプレゼンテーションの際に看過できない発言があった。
当該地周辺を一帯整備する、と発表したのだ。
付近には寄贈された樹林があるがきちんと整備されていないこと、付近で公園用地を必要としていることなどから、今回の土地取得をテコに周辺を一帯整備する、というものだ。

だが、こんな話はいつ決まったのだろうか?
私は市議会議員になってまだ7年弱だが、一度もそんな話は聞いたことがない。
善行地区の住民は、そんなに強く現地付近の整備を要望しているのだろうか?
政策目的と達成目標は何か?何の必然性があるのか?
確固たる計画があるのか???

それに、財政的な検討はなされたのだろうか?
既存事業すらカネが無くて進捗していないのに、十分検討されていない新規事業を組み込む予算的余裕が今の藤沢市にあるのか???
市長の頭の中では全てが解決済みなのだろう。

市が用地を取得するのは「健康増進」「利便性向上」「文化芸術の振興」といった明確な目的を持った市民サービスのためであり、それには歴とした計画が必要だということは論を待たない。

今回は、市民要望として「市民農園」用地を購入する、という事で検討されたのだが、結果は「コミュニティ事業」用地、となった。

しかし、このコミュニティ事業がどんなものなのか、市側は説明することが出来ていない。
「使い道は地元住民に検討してもらう」と言っているが、そんないい加減な説明は通用しない。
ようするに

「土地を買ってくれ」と頼まれたから買っただけ

だ、と言われても仕方ないだろう。
また、突如として発表された「周辺一帯整備」だが、これまでの説明では「単なる思いつき」としか思えない。
そして、本当にそうならば当然ながら公金支出のあり方として到底許されることではない。
(続く)