鈴木市政はじまる

今日から2月定例会がはじまった。
3月からなので2定っていうのもなんだが、市長選挙の関係で今年は開会が延ばされたので、こういう日程になった。

さて、今日は鈴木市長から来年度予算の施政方針が発表された。
中身は、というと、選挙時のスローガンのようなもので、具体策はこれから、といったところだろう。
とりあえず新市長の船出を祝福したい。

また、今日は本会議が終了後、議員全員協議会が開催された。
議題は、市庁舎や市民会館などの建て替え方針の白紙見直し、である。
鈴木市長は、海老根前市長が打ち出した民間活力を用いたこれら大型公共事業に待ったを掛けた格好である。
理由は、市庁舎や市民会館、市民病院等々の大型公共施設を今後建て替えるのはともかくとして、各施設の耐用年数の違いや再整備の緊急性には差があるので
「まずは喫緊の課題である市庁舎建て替えを優先していきたい、ついては他の施設との一体的整備は見直す」
というものだ。

私の主張とも一緒であるし、基本的にこの方針転換は歓迎したい。
何よりも、選挙を通じて市民は海老根構想にNOを突きつけたのだ。

だが、海老根市長とともにこの計画を推進してきた議員らは腹の虫が治まらないようだ。
一部議員からは、方針転換の報告が議会に無かったことと併せ、厳しく市長を責め立てていた。
「提案に応じた企業に迷惑をかけた。損害賠償も発生するだろう。それほど大きな方針転換なのにビジョンが全く無い」
と断罪。
言いたい放題であった。

損害賠償、というが、アイデア提案に向けて取り組んでいた企業には気の毒だが、提案の多くは不採用となる。コンペとはそういうものだ。
仮に海老根市政の計画通りに進めたとしても、一部にしか仕事が行かず多くの企業は空振りに終わる可能性が高いわけで、コンペ自体が無くなったことを盾に「損害が発生した」というのはムリがある気がする。

まあ、これから提案しようとしていた企業や、海老根市長を推してそうした計画を進めようとしていた議員にとっては頭に来る話だろうと思う。
しかし、そもそも計画自体にムリがある。中止の判断は妥当だ。
振り回された企業は鈴木市長に文句を言うしかないのだろうが、ならばホントは無理な計画を立てた海老根前市長を恨むべきではないのか。

市民会館の敷地にマンションなどを建てて収益を確保する、こうしたことは市庁舎の建て替えでも念頭にあったようだが、私は以前から述べているように、公共施設と民間施設の共存は簡単ではないだろう。土地が狭い都心部などならともかく、藤沢はそれほど土地には困っていない。
それぞれ単独利用が望ましいのだ。不特定多数の人が訪れる市役所と住居、あるいはホールと住居は共存は不可能、と断言していいだろう。
今の市民会館の空地部分は広場のような使われ方をしている。若者がダンスをしたりスケートボードをしたり。
広い場所なので、私は若者のパフォーマンスを好意的にみているが、敷地内にマンションが出来たとして、そこの住人はそう思うだろうか?
そうした遊びに興じる若者と住人との間で摩擦が生じることは間違いないだろう。

街に広場は不可欠だ。市民会館と広場あたりは、非常に良い都市空間になっている、と私は思う。
広場は金を生まない、からといって、せっかくの空間をつぶしてまで複合的な施設にするべきではない。

アイデア募集の段階なので、どのような構想があったのかどうか、明らかになること無く話は終わったわけだが、収益を上げることを意識した仕様だったのは確かであろう。都市文化よりも採算、という計画だったと推察する。取りやめて正解だろう。

ただし、金がない、のも事実だ。
私は、金が無ければ建て替えなどやめるだけだ、と思っている。
文化は大切だがゴミ処理などと違い必需的ではないし、ハコモノが大事なのでは無くて、ようは中身・ソフトである。
今のまま、延命するだけすればよろしい。で、限界が来たら、事業に着手する、と言うことだと思っている。
それでも巨額の投資が必要だし、いずれは更新を迎える。長期的な視点が不可欠だろう。その点で、
「市長は目先しか見ておらず、長期的視点が欠落している」
と一部議員から厳しく問われていたが、新市長は明確に答えることが出来なかった。就任間もないとはいえ準備不足は明らかであり、それを責める議員の言い分はもっともなところもあった。
私は白紙見直し自体は全く異存はないが、では何故?というと、市役所を優先する、としか答が無かったのは残念だ。

私のレベルならばそれで良いかもしれないが、市長はそうはいかない。
庁舎や公共施設全体への基本理念が問われる。財源措置の考え方や執行管理も問われる。
明確に答えられなかった鈴木市長には自省を促したいところだ。

ともあれ、新市政がスタートした。
前任者の施策を転換するのは、影響を受ける関係者が出てくる事は間違いない。
責任追及をする場面も出てくるだろうし、前向きというより後ろ向きな仕事であろうから不満が出よう。
良かれ悪しかれ、海老根前市長は前向きな夢を語っていたが、鈴木市長は夢を覚ます役回りを演じることになる。
ようするに「不人気施策」になるわけだ。
しかし、それをやるために市長に就いたのだから、不退転の決意で取り組んで頂きたいと思う。

前の記事

さよなら、海老根市長

次の記事

最終報告書原案提出