藤沢地方自治研究センター

今日の夕刻、藤沢地方自治研究センター主催のセミナーが開催され、参加してきた。
当センターは藤沢市職員労組が自らのシンクタンクとして設置している。メンバーは市職労役員の他、大学教授や自治体シンクタンク研究員など錚錚たるものだ。
また、伊藤前市議や大矢市議、高橋市議など自治労出身の議員と、齋藤県議も理事に名を連ねている。
私も初当選以降、理事を仰せつかり、地方自治・自治体政策、さらには藤沢の地域課題についてのセミナーなどを通して学ばせて貰っている。

で、今日は「原子力資料情報室」という独立系NPOの澤井正子氏を講師に招き、福島原発事故の汚染の実態と対策、さらには
「自治体として何ができるのか」
といったことを、仕事が終わってから集まった市の職員とともに学んだ。

福島原発が爆発・炉心溶融という大事故を起こし、放射能が広範囲に拡散。福島県を中心に、汚染は関東や長野方面にもおよんでいる。土や水源、川・海が汚染された、ということは、私たちが摂取する食物も汚染されていることを意味する。
体内に放射能を取り込む、いわゆる「内部被曝」による健康被害の恐ろしさ、中でも小さな子どもに影響が大きいこと、1986年のチェルノブイリ原発事故後の住民の甲状腺ガンなどの被害などなど、原発事故の恐ろしさを克明なデータを交えた説明により、理解が深まった。
ベラルーシに渡り、チェルノブイリの後遺症に苦しむ患者を診た菅谷市長の講演を聴いた際にも感じたことだが、放射能に対しては
「正しく怖がる」
ことが必要だろう。

講演の締めくくりに、自治体での政策展開について示唆を頂いたので紹介したい。

1.食材等(給食)の測定
2.廃棄物、下水汚泥等の測定
これらは、とにかく徹底することだろう。また、直接市が関わる所だ。藤沢市職員の奮闘を期待したい。
また、
3.地域のエネルギー供給構造を把握すること
が大切だ。そして、今後
・電気の地産地消
が考えられる。

原発のような大がかりかつ危険な装置が必要になるのは、ひとえに大都市で電力を自給できない、あるいはしていないからだ。
で、人が少ないところから遠距離を送電することになる。
そうではなくて、地元の工場等とコラボレーション、すなわち「工場の自家発電の余力分を地域に回す」という施策も考えられるだろう、との事だった。ドイツでは自治体が電力会社を運営している、ということも紹介されていた。
発電の廃熱を暖房にも活かせるわけだが、これを地域暖房とするなど、都市計画・まちづくりとも関連させる。
電力に限らず、エネルギーの供給も都市計画の範疇であり自治体の仕事だと位置づけるわけだ。

市内でも、海老根市長の置き土産ともいえる「サスティナブル・スマートタウン」計画が進んでいる。ここも「創エネ」を掲げているとおり、エネルギーの自給をめざす取り組みだ。
全体的に見ればこうした取り組みは緒に就いたばかりだろうが、脱原発・クリーンエネルギーを考えていくと、このようなまちづくりの流れが進んでいくと思う。

原発事故は日本社会に暗い影を落としている。
「震災がれき」は神奈川県でも問題化しているし、発災後一年を経ても事態収拾の出口が見えない。
その中で、「自治体に何が出来るか」というように、各々が出来ることを前向きに考え実践すれば必ず活路が開けるはずだ。

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