八ヶ岳野外体験教室

1月25日に「こども文教常任委員会」の視察で八ヶ岳まで行って来た。

私は当該委員ではないので、「傍聴議員」ということでの参加。
というのも、私は市の施設の「八ヶ岳野外体験教室」に行ったことがなかった。
ところがつい先日、冬休み最後の三連休にウチの子どもが市の外郭団体である「みらい財団」
「自然ふれあい教室~雪ん子大作戦」
という事業に参加し、大喜びで出かけ、そして大満足で帰ってきたので、どんな所なのか見ておかなければと思い、文教委の視察に便乗したのである。
また、ご多分にもれず?海老根市長にかわってから、廃止・売却の議論が浮上しており、それに対する反発がある、という市政の中でも重要テーマに浮上している施設でもある。そういう意味からも、是非視察しなければならない施設だ。

ちなみに、ウチの子が行ってきたイベントについては同財団がブログで逐一報告をしてくれているので、そちらを参照していただければと思う。
ブログは、子ども達の思い出の記録であると同時に、留守を預かる保護者に向けてのものでもあり、解散場所の市役所に子どもを迎えに行く親のために到着時間が分かるように帰路を逐一報告してくれるなど、親としては大変有り難いものだった。

この「雪ん子大作戦」という事業は、ボランティアの若者が企画・運営し、子ども達を引率するというものだ。引率のお兄さん・お姉さん達は、子ども達と年が離れておらず、親や学校の先生とはまた違う親しみやすさがあったようだ。
ウチの子は
「帰りたくないくらい、楽しかった!」
「楽しくなかった、って人は一人もいないと思うよ」
との感想だった。
市内各地から、45名の小学校5・6年生の子が参加した。
子ども達は普段の友達と参加するのではなく、初めての子たちと出合うので、私は「仲良く出来るといいな」とやや心配だったのだが、全くの杞憂に終わったようだ。

1月7~9日の日程の体験教室ということで、ひと月まえに二回にわたり「作戦会議!」と称する事前説明会があり、その時から既に友達同士になっていた。知らない同士の体験学習となるので、事前に顔合わせをしておくのは正解だろうし、雪遊び体験をするためのスノーシューなどの道具の使い方などの事前レクチャーが必要なのだろう。

私も、親として海や山、夏・冬休みに子どもには大いに自然体験をさせてやりたいと思っているが、なかなか出来ていないのが残念だ。
そうした中で、公の、信頼できる機関が安価に子どもの達にそうした体験をさせてくれるのは、大変有り難いものだ。
スタッフの皆さんに、この場を借りて心からお礼を言いたい。

そうした子ども向けの事業を公が行えるのも、市有の施設があればこそ、といえるだろう。
たまたま、一緒に参加した子の中に、友人の子がいた。
彼女は鎌倉市在住なのだが、藤沢市内の私立小学校に通っており、今回のイベントは「市内在住・在学」ということで、参加資格があったのだ。
鎌倉市にはこういう教室がなくて。藤沢市は子育て支援が充実していていいですね
との事。こうした話を聞くときが、藤沢市議会議員として誇らしい瞬間である。
「いや、なに、それほどでも」
とイイながら、ついつい鼻の穴がふくらむ。

前置きが大変長くなってしまった。
さて、八ヶ岳野外体験教室は、1992年に開設以来、藤沢市の多くの子ども達の野外学習を担ってきた。
私が中学を卒業したのは1984年だから、当然ながら私はここでの研修は受けていない。たしか、三浦半島の県の施設で研修をした記憶がある。

当施設は現在は指定管理者制度が導入されており、(株)東急コミュニティーが運営を担っている。
施設は思いのほか洒落ている。メインの管理棟のほか宿泊棟が7つ、372名が利用できるようになっている。敷地も広大で、1万㎡以上あり、標高1500メートルの大自然に囲まれた抜群のロケーションである。
こうした施設を利用できる藤沢の子ども達は恵まれている、と言えるだろう。貴重な体験ができるはずだ。

ところが、一昨年の「事業仕分け」において、見直しの議論がなされ、売却も検討されたことがある。
確かに、県で類似の施設がある以上、そこを利用してもよいといえばそうだろうし、市でこのような大規模な施設を持つことは「贅沢」かもしれない。
実際に、年間で2億円以上の経費をつかって運営されている。費用対効果についても、検証されて当然ではあろう。

だが、述べてきたように、素晴らしいロケーション・施設、市の職員や指定管理者の皆さんの努力によって子ども達の貴重な自然体験・思い出づくりが支えられている。
この施設は学校利用だけでなく一般の利用も可能だが、特筆すべきは「学校対応」を基本として施設が設計・計画されていることだ。
一クラス3~40名が一度に風呂を利用する、食事をする。宿泊棟の大きさもしかり。
現地には市の教員が出向して常駐しており、保健室があり看護師もいる。白浜養護学校の児童生徒も利用出来るよう、浴室なども対応できるようになっている。
「児童生徒」の「野外体験学習」のための施設であるので、普通の旅館では代替できないだろう。
また、私たちの頃は実際そうだったが、県の施設を使う手もあるだろうが、県内にこうした施設は三カ所。それで、全県の学校が利用しようとするので、時期が重なり競争が激しく使い勝手がよくない。また、比較することでもないだろうが、県内とはスケールの違う自然がここ八ヶ岳にはある。
藤沢市の教育の、素晴らしい財産である。

繰り返しになるが、親としては子どもに出来るだけ自然体験をさせてやりたい。しかし、少なくとも我が家では思い通りに出来ていない。
それを、学校で(あるいは財団で)低廉な費用で実施してくれるのは有り難い限り。また、家族と行くのとクラスの友達・先生と一緒にいくのはまるで違う経験になろう。
安心して子どもを預けられて、しかも日常では到底体験できない貴重な自然に触れる機会を提供してくれる、この八ヶ岳自然体験教室を売却しようと検討していた市執行部の考えは理解できない。

前回も述べたが、海老根市長が自分が市長として新たな施策をやるために既存の事業を廃止したいだけと思われても致し方ないだろう。
市長になって、自分の色を出したいのは理解できる。
だが、役に立っているものをやめて財源をつくって新規事業をやる、のならば十分検証の上でなければならないのは言うまでもないことだ。
また、既存事業、この中には一見すると、それこそ「事業仕分け」的な視点からすると惰性に見える事業もあろう。
しかしその一方で、市の事業が市民に根付くには時間がかかるだろうし、時が持つ重みというものも当然あるだろう。
八ヶ岳の事業に関しては、市の小中学校の「伝統」事業になりつつある、と私は感じている。
開設してから20年だから、親子二代でここで学んだ、という例も出てきているだろう。そうして、藤沢の教育の伝統がつくられていき、藤沢らしさ、藤沢らしい教育が根を張っていくのではないだろうか。

海老根市長のやり方は、そうした事を一切念頭に置いていないように見える。
事業仕分け的な視点は、私は否定はしないどころか大いに評価している。その一方で、こうした「伝統」のような、あるいは「思い出」「体験」など数字・金に現れてこない、しかし非常に大切なものは「仕分け出来ない」とも思っている。限界があるのだ。
 なので、事業仕分けのように「冷徹」に判断しつつ、最後は人々の「熱い」「思い」も計り、結論を出す。これこそが政治、だろう。

そうした意味では、この八ヶ岳自然体験教室の存廃を巡る議論は、海老根市長の姿勢、すなわち伝統・継続を軽視(あるいは無視)して、自らの掲げた新規事業の実施にこだわる、という自己顕示が如実に出ていると思うのだ。