100条委否決のドラマ

もう昨年の話になるが、先の12月定例会での100条委否決について今一度触れておきたい。
11月に公明党の竹内議員が横浜市議選へ鞍替えすることになり、辞職した。
ということは、市長与党が一人減る。
竹内議員の辞職前、市議会の与野党構成は与党20、野党16。

このうち、議長は通常は採決に参加しないので、与党19となり、さらに100条委設置に関しては与党・自民党の市川議員も野党とともに賛成に回っているので与党は18、野党17とその差1票までに迫る。
そして、与党の公明から一人減ると、ついに17対17の同数になる格好だ
(なんか、佐賀議員の時にもこんな事があったなあ)。

そこで、私たち野党系市議は竹内議員の辞職を奇貨とし、4度目の 善行土地問題を調査するための100条委員会設置 の議員提案をすることにした。
過去三回を振り返ってみると、まず一昨年の12月定例会では賛成16、反対18、棄権1で否決。つづく2月定例会では前回棄権の市川議員が賛成し、17対18。
さらに、鑑定士に調査を依頼し、4250万円と半値以下の結果をひっさげ6月定例会で三度目の提案も、同じく17対18で否決。
9月定例会は提案せず、任期中では最後のチャンス、と言うことで4度目の提案をしたわけだ。

また、今回もこれまで通りならば17対17の同数となり、この可否同数の場合は議長裁決となる。
そうなると、議長に非常にプレッシャーがかかることになり、ひょっとすると議長は賛成するのでは?という淡い期待とともに、結局議長が否決することも当然想定され、その場合は議長の不信任提出、ということも視野に入れていた。

これに対しては、野党系の中でも賛否があった。
私は当初は深く考えずに「そんな議長は不信任でいいんじゃないか」と思っていたが、議長が不信任となった他市の事例・理由や議長の職責などを調べるうちに消極的、懐疑的になっていた。

「山口議長に、違法行為やスキャンダルなど資質が問われるような不祥事なないだろう。それに、明らかに与党を利する議会運営をしているわけでもなく、概ね公平に議事運営している、といえる」
「可否同数の場合のみ、議長は裁決をする。そして、その場合は『現状維持の原則』という不文律があるので、議長は否決するだろう。それは『異常な判断』とは言えない」
「議員が議長を不信任する場合とは、それこそ多数が100条委設置を求めたのにそれに応じない、という場合ではないのか?」

というのが私の反対理由。
自分で言うのもなんだが「良識的判断」だと思う。
さらに「泥仕合は避けたい」というのもある。
与党多数の前では不信任動議も否決されるだろうが、理由はともかく
「議長が自分たちと違う判断をした」から不信任動議を出しているだけだ
というふうに言われても仕方が無い。

そして、それでは市議会の悪しき先例となり、次回以降私たちが逆の立場になるかもしれない。
禍根を残すのは間違いないだろう。
もう一つ付け加えれば、というか単純な心情として、山口議長を人間として私は信頼している。
その中で、私は自分と議長との人間関係を壊すことになりかねない不信任動議提出には正直言って腰が引ける、というのもある。

対して、不信任提出の意見は
「今回が私たちの任期中に100条委を設置する最後のチャンス。最終的に議長の一票がその芽を摘むのならば、『議員の職責を果たそう』という志を無にする議長を認めることは出来ない」
「不信任に慎重な議員の考えも分かるが、それは議会運営上の話。いわば『プロの論理』だ。市民目線ではない。野党系市議が最後まで100条委設置を求めて筋を通した、ということを市民に示すことが大切では」
という感じだろうか。

私は「確かに私の言い分は『プロの論理』かもしれないな」と思った。
徹底的に100条委設置の筋を通したい、というのも分かるし、これまでも野党系で党派を超えて団結してきたのだ。
いまさら、私一人で良い子になっても仕方が無い。不信任の動議が出されれば賛成するしかないな。

理由は 1.我ら100条委設置派議員の本懐を市民、与党議員及び市当局に知らしめる
2.野党系議員の結束を示す

ということになろうか。いずれにせよ、もうひとつ気持ちは晴れないが…。

覚悟をきめて採決に臨んだが、結果は、一時は賛成していた市川議員が棄権したので16対17となり、議長裁決はなかった。
よって、不信任動議も出されず、何事もなかったようにあっけなく終わった。

市川議員は、ともに賛成してくれると思っていたので残念な一方、私としては議長不信任に対して消極的賛成だったので、16対17で議長裁決に至らず、その結果議長不信任を出す理由が無くなったことに対して安堵感をもったのは事実だ。
市川氏は私と同じような理由で議長不信任に疑問をもっていたのかもしれないし、会派の一員として議長を追い詰めるような態度に出ることは出来ない、というのならそれも理解できる。

だが、市川氏は以前は気楽に賛成出来たが、自分の一票が事を左右するような局面では腰が引けた、と言われても仕方がないだろう。結果だけ見ればそうなる。
あくまで市川氏も与党・ふじさわ自民党なのだ。たまたま100条委には賛意を示していたものの、予算など重要議案には賛成している。

どだい、藤沢市議会は議員35名中で市長与党19野党16なんだ、ということが再認識できた。
今回の100条委設置の議員提案は取り立てて新しい事実もなく、よって反対議員による質疑もなく、議長裁決及び不信任動議提出という劇的場面もなく、提案には無理があったのでは?という批判もされた。
そうした見方も可能だろうが、私を含めて議員個々のスタンスが明確になった、という意味において有意義だったと思っている。
市川氏だけでなく、結果を問われるのは私も同じだ。 私も、「消極的に」だろうがなんだろうが、批判を浴びるのを覚悟し、色々なものを振り切って議長不信任に賛成しようと決めたのだから。不信任動議は幻となったが、気持ちの中では ルビコン河を渡って いたのだ。