12月定例会終わる
12月定例会が終わった。
海老根市長にとって任期最後の議会だったが、この間に疑惑を伝える新聞報道が相次ぎ、まさに「針のむしろ」だっただろう。
再選をめざす市長としては、この定例会で「出馬宣言」を行い選挙モードに突入する、というのが普通だが、それどころではなかった。
海老根市政の4年間、良い施策もあったろう。
小児医療の無料化延長、辻堂C-Xのまちびらき、サスティナブル・スマートタウン誘致に成功した。
賛否はともあれ市内分権、成果主義、事業仕分け、民間活力導入など「新しい公共」にも果敢に挑戦した。
他にも評価すべき施策があると思うが、私が一番評価するのは海老根市長の「発信力」である。
山本前市長は実直で手堅い人だったが、40万市の長として発信する、という点では物足りないと感じたこともある。
対して海老根市長は、持ち前の弁舌と表現力とアイデアにより、市内外への発信において大変優れていると思う。
さすがは「松下政経塾出身者」だ。
スポーツマンでもあり、イベントなどで先頭に立って明るい雰囲気を振りまき、リーダーとして相応しい資質の持ち主だと言え、私などは到底真似できない優秀な政治家だと思う。
だが一方で、リーダーシップの名の下に、各層の合意形成を軽んじていた、と断ずる。
新井前副市長の強引な手法に対して批判が多かったが、市長自身もおんなじだ。
聞く耳の無い権力者の前では、部下は沈黙するしかない。で、「裸の王様」に。
市役所内の求心力低下は隠しようが無く、これでは施策展開はおぼつかないだろう。
さらに、土地問題に見られる「金銭がらみ」の疑惑、庁内BBQや公用車の私的利用に代表される市役所幹部の「法令遵守」精神の欠如。
海老根市長の明るいキャラクターと対照的に、藤沢市政には暗い影が差している。
昨日の原田議員の一般質問では、善行土地問題、旧江ノ島水族館跡地取得&断念問題、BBQ問題などが突っ込まれ、対する市長は「訴訟中」「捜査中」として、答弁を避ける場面が目立った。
議会で(何か言うと訴訟等に影響するから)答弁は控える、という態度は法的に見れば当然だろうが、「市長」という地位が負う道義的・政治的責任、と言う意味ではどうだろう。
まあ、そもそも訴えられている事が多すぎるのだが。
そうした中で、定例会最終日、私たち委員の成果である100条委の中間報告書を高橋委員長が代表して発表した。まとめの意見は
「本件土地取得は『不当』である」
というもの。市議会の「全会派から委員が参加」している100条委員会で「全会一致」の意見だ。まさに画期的、である。
「市長派」「反市長派」という問題ではなく、「市議会の総意」の判断が下ったのだ。
委員会設置を提案するも三度否決。二年越しでようやく委員会が設置出来た事を思うと、感無量である。
改選前にできなかった100条委が設置出来たのも、激戦を突破してきた新人議員の存在抜きには語れず、そうした議員を選んだ市民の成果だ、と言っても過言では無い。
これから100条委としては、市長以下この件を主導した市幹部に対する法的責任について審査を続ける。
証人尋問で偽証したかどうかについても、何人かの証言を精査し、場合によっては偽証罪で「告発」することになる。
これまでは、議会という「政治」「調査」の世界だったが、「法律」の世界にも踏み込んでいくことになるので、弁護士に相談する必要があるだろう。
ということで、その費用を追加で予算計上することになった。
また、土地価格の鑑定評価を依頼することになった。くどいようだが、当委員会の設置目的は、
・取得そのものの是非
・取得金額の妥当性
今後は専門家の力を借りて、審査に万全を期すことになる。
このため、当初の委員会予算よりも大幅に膨らんでしまった。真相究明をめざすものの、一方で時間と予算には限度がある。
今後は、あらためて「効率的な審査」も念頭に置かなければならない。
不当な土地取得だった、ということは全会派が一致したものの、では「動機」は何か?
市長、副市長、部長ら市幹部は、なぜ、不当な土地取得を強行したのか?動機は、依然として明らかになっていない。
いずれにせよ、権限を有する人が
・悪いと承知の上での行為ならば「背任」
・良いと判断の上での行為ならば、結果に対する「損害賠償」
が問われる。
定例会は終わったが、100条委の幕はまだ降りない。