善行土地問題 膨らむ予算
11月18日、100条委が開催され、6名の市職員を喚問し、証人尋問を行った。
この日は主に、市が取得した後の動きとして、隣地所有者との交渉内容や、問題発覚後の市による議会説明について、調べることになった。
市が議会に説明する際、事実と異なる説明をするように調整が行われていた、という疑いが生じているが、証人各位は「記憶にない」を連発、これについては見るべき成果はなかった。
が、隣地所有者との話合いについては、新たな事実が明らかになったのは大きな収穫といえる。
また、新井副市長から「自治会からの陳情の前に、取得を検討していた」との証言が飛び出した。従来の市の説明を180°転換するもので、皆が驚く一コマとなった。
もっとも、私たちはハナッから市の説明を信じていなかったのではあるが。
新井副市長におかれては、病気療養中にも関わらず出頭され、尋問を受けたことに対し敬意を表したい。
だが、まだ真実を語っていない、と思われる部分が少なからずある。
ここでは、病気療養中の身とはいえ訊きたいことは山ほどある、とだけ指摘しておく。
そうした中で、従来は認めなかった事実を一つ認めたのはどういう心境の変化だろうか?
と思っていたら、新井副市長は25日に辞職してしまった。
体調が思わしくないとのことで同情を禁じ得ないが、それにしても100条委で従来と違う証言をし、その後の辞任。
「市長との関係が決定的になったのか?」
などと勘ぐってしまう。
いずれにせよ、新井副市長は私が生まれる前から藤沢市役所に奉職し、市政発展につくしてきたことに対して敬意を表するとともに、お疲れ様、お体を大切に、との言葉を手向けたい。
で、前置きが長くなってしまったが、表題の件に入ろう。
これまでの市の説明は、当該土地の整備にあたり、まずは人が通れる程度の整備をし、市民の利用に供することとする、とのことだった。
なので、大して費用もかからずに、この「地域コミュニティ活動事業」が実現される、との説明であった。
ところが。
隣地の所有者の協力を得るために、大規模な道路築造を計画、さらには隣地所有者のA氏の土地と、市開発経営公社が所有する土地との交換、という提案をしていたのだ。
当該土地は無道路地だ。これに対して市は「赤道」があるので、進入は可能、との説明を繰り返してきたわけだ。
だが、実際には隣地を通行しないと入れないのが現状で、仮に赤道を整備するにしても、やはり隣地の一部を使わせてもらえないと、人ひとり通れる程度の道路を築造することも不可能なのだ。
よって、当該土地を利用可能な状態にするためには、隣地所有者の方の理解・協力が欠かせない。
しかし、隣地所有者のA氏は、市の不透明な土地取得に対し、完全にご立腹であり、協力を拒んでしまった。
これでは、市はせっかく買った土地を使えないばかりか、不動産鑑定の前提も崩れてしまい、使えない土地を法外な値段で取得したまま、という事態に陥る。
そこで、隣地所有者の協力を得るために、市は、まず開発道路を通すことにより、当該土地及び隣地の便益向上を図って理解をえ得ようとした。
が、これは、「保存すべき」と市が述べている緑地を破壊すること、高低差があるために膨大な費用がかかること(3億円程度)等の理由で頓挫。
そこで今度は「公社が所有する土地」と「隣地を交換」することを提案。
計画道路に面した、使い勝手の良い土地であり、土地交換を提案をすることによって、何とかA氏の理解を得ようと画策していたのだ。
だが、一体市の土地をなんだと思っているのだろう。軽々しく、ならばお宅の土地とあそこの交換でいかがでしょうか?
まったく、言語道断である。
このような話合いを重ねているところで、土地問題が明るみにでて、ご破算となった、という展開だ。
裏返して言えば、問題が発覚しなければ、1億円で買った「無道路地」を使えるようにするために、更に数億円もの出費相当の負担を強いられていたことになろう。
こうした事が、先日の100条委で明らかになったわけだ。
それにしても、なんと馬鹿げたことをやっていたのだろうか。
整理しよう。
1.隣地所有者A氏に内緒で無道路地を取得
2.隣地の自分に断りも無く市が取得したことに立腹したA氏が協力を拒み、進入路を封鎖。
当該土地は孤立
3.A氏を懐柔するために、3億円もの費用がかかる道路計画を提案
4.それが頓挫すると、次にはA氏の土地と市公社の土地の交換を模索
そうこうするうちに、善行土地問題が明るみになり、白紙に。
必要ない土地を買ったばかりか、その土地を使えるようにするために、更に巨費を投じようとする市の感覚には言葉もない。
市長以下連座した幹部職員は新井副市長の辞職をどう考えるのか、胸に手を当ててよく考えて頂きたい。
そして。
100条委に反対してきた議員諸君は
「土地取得は市長の専権事項」
「100条委を設置し調査した結果、何もなかったらどうするのか?」
と主張していたが、今の心境はどうだろうか。