オペラ座の怪人

実は?私はミュージカルが好きなのだ。
サウンド・オブ・ミュージックとメリーポピンズは、「私の映画ベスト5」に入る。

で、オペラ座の怪人。
私が劇場で見たのは、もう15年前。それも、贅沢にも本場ロンドンの劇場街「レスタースクウェア」で。
この旅行では、ロンドン大学に留学していた姉の友人宅でお世話になっており、この時も姉と見に行った。
当時は初演から10周年ということで大々的に宣伝、作品と作曲者アンドリュー・ロイド・ウェバーの名声は世界中にとどろいており、
日本からの旅行者は「ロンドンに来たら『オペラ座の怪人』みなきゃ」という人ばかり
は大げさだが、それくらい大人気だったのだ。
なかなかチケットがとれなかったな。

オペラ座の怪人は「ハア・マジェスティ劇場」という、19世紀・ビクトリア調の建物で上演されている。
往事の「大英帝国」を偲ばせる、見事な建物である。そんな劇場で19世紀のパリが舞台の演目。
それも、ミュージカル史上最高傑作といわれる「オペラ座の怪人」。これで感動しないワケがない。
これですっかりミュージカルが気に入ってしまい、滞在中はレスタースクウェアに一人で何度も足を運んだ。

(ちなみに、姉友人宅は東京でいえば京王線の千歳烏山とか、中央線なら西荻窪、とかそんなかんじ。都心までは地下鉄で25分くらいだったが、お上りさんの私は、時間がかかっても窓からロンドンの街並みが見える「二階建てバス」で行くのが好きだった)

もっとも、劇場街はチャイナタウンやリトルイタリーが隣接する、ウエストエンドという深夜でも賑やかな繁華街にある。
安くて美味しい店が多く、一杯やりながらの夕食には最適だった、のであり、行くたびに観劇していたわけではない(チケットが高いのだ)が、劇場街独特の雰囲気は何ともよいもので私のお気に入りだった
その他ミュージカルでは「クレイジーフォーユー」が一押しかな。陽気なストーリー、ハイテンポなガーシュウィンの名曲、圧巻のダンスは見終わったら頭が空っぽになる爽快感で、本来そういうのが私の好み。滞在中に二回も見てしまった。
が、「感動」という点では「オペラ座の怪人」は別格だ。

その後はさっぱりミュージカルはご無沙汰になった。
チケットが高いし、本場ロンドンで見てしまうと、もう気が済んでしまった、というのもあるかもしれない。
とはいえ、やっぱり都内や横浜、視察で訪れる大阪などで「劇団四季」の大看板を見ると、
「見たいなあ」
といつも思う。四季なら日本語だから台詞も全部わかるし。
ところが、「オペラ座の怪人」と思わぬ形で再会を果たすことになる。こういうのを「犬も歩けば棒にあたる」というのか?

先日、妻と娘と銀ブラの後に日比谷で映画を、という休日を楽しんだ際、映画館の入り口に
「25周年記念講演inロンドン~『オペラ座の怪人』~at the ロイヤル・アルバートホール」
というポスターが張ってあった。

なんでも、初演から25周年の超ロングランを記念して、いつものハア・マジェスティ劇場ではなく5000人は入ろうかというロイヤル・アルバートホールで最新の舞台装置を駆使した特別上演をおこない、その様子を映画化したものを日比谷スカラ座で上映するという!
これは、映画版、ではなくて、舞台そのものを撮ったものなのだ。
日比谷スカラ座の大画面や音響、立派な客席とくれば、劇場のライブと同等、いや、俳優のアップなど複数台のカメラワークを駆使すれば、生で見るよりも面白いかもしれない!
上映期間は10月21~27日の一週間限定。これは見逃すわけにはいかない、ということで妻と日比谷まで行って来ました。

期待を大幅に上回り、感動の連続だった。特別料金2000円も惜しくないどころか、全然安い。
開演前の騒然とした客席の様子を映すところから映画はスタート、臨場感たっぷりだ。15年前のロンドンでの感動がよみがえってくる…。
音楽と歌が素晴らしい。演技、ダンスも見事。舞台美術も凄い。美しい。そして、とにかく泣ける。
やっぱり、最高傑作、だ。