不動産鑑定評価

2012.02.04更新  [議会 ,100条委員会]

昨日100条委が開かれ、当委員会でおこなった鑑定評価の結果が発表された。
気になる価格は
2670万円(現況)。
市でおこなった鑑定額の4分の1である。

で、市の鑑定のように、仮に道路が付いて開発が可能だったとしても、5880万円との報告だった。
このように価格は二種類出されたが、注意を要する。
2670万円が、鑑定評価書。
5880万円は、調査報告書。
つまり、5880万円は、参考価格であり、鑑定評価としては、あくまでも2670万円なのだ。

この違いは。
5880万円の評価については、「現実性が乏しい」条件想定、すなわち、道路が付くことは現実的ではなく「仮に道路があったら」という条件での価格なので、土地の現況を評価した価格とは言えない、ということなのだ。
なので、100条委としては、2670万円を採用することになる。

2年前に、議員有志でおこなった時も、調査報告書であった。
これは、私たちが依頼した鑑定士氏が、「不確定要素が多いので、鑑定書ではなく調査報告書とする」と判断したためだ。
この「調査報告書」とは、2010年に不動産鑑定評価のガイドラインが示された際に新たに導入された制度だ。
どのような場合に使うのか、というと「厳密な鑑定」ではなく、「仮にこうだったら」と現状とは違う評価をする際に便利なようになった、ということである。

今回は「道路があれば」という条件だった。
これ以外にも、「鉄道が延びた場合には」「駅が出来たら」という条件もあるだろうし、辻堂のように「大きなショッピングセンターができたら」という条件での鑑定、というか「価格調査」という場合だってあろう。
しかし、従前の「鑑定評価書」しか認められなければどうか。
今はなくても、将来的に「蓋然性が高い」、すなわち「実現性が高い」場合でないと、不動産鑑定士が評価した、信頼性の高い価格調査が出来ないことになる。
しかし、「調査報告書」という制度が出来たので、現実性が乏しくても、「仮にこうならば」という価格調査を、「法制度上の担保」がある形で不動産鑑定士が行うことができるようになったのだ。

長くなったが、何が言いたいかというと、今回の鑑定はあくまでも2760万円であり、5880万円は「現実性が乏しい『仮の』ハナシ」ということで出された価格だ、ということだ。

市が鑑定をした2008年には「調査報告書という制度はなく」全てが鑑定書であったし、調査報告書という制度があったとしても公で土地を取得する際の目安となるのは「鑑定書」でなければならない決まりである。
なので、以前に私たちが調査報告書を発表した際も、市経営企画部長は「議員が得たのは『調査報告書』であり市が取得する場合には役に立たないものだ」みたいな反論をしていた。

その通りである。私たちは価格が分かればよかったので、そうしたのだが、そう言うのならば。
今回は「鑑定書」を出してもらった。
それが2760万円。
くどいが、「現実性が乏しい」開発可能な宅地見込み地として「参考までに」出した場合でも5880万円。市が行った鑑定の条件設定は現実性が乏しい、という判断は、市の鑑定士以外の3氏が一致している。
さらに言えば、市側鑑定士氏すらも、この事は認めているのだ。「市の事業がある、という前提で、鑑定した」と。

ここで、少し解説したい。
今回の土地は無道路であるので、隣地所有者から進入路にあたる部分を取得しなければならない。
それに応じてくれたとしても、その部分は「生産緑地」の指定を受けている。
生産緑地とはその名の通り「農作物をつくらなければならない土地」との指定を市が行い、指定された土地は、土地保有にかかる固定資産税などが殆どゼロになる。これにより、営農しやすくして市街地内での農地を守っていこう、という制度だ。

なので、これを解除する場合には、非常に高いハードルが設けられている。
指定から30年を経た場合、あるいは当事者が亡くなった場合。
亡くなった場合に、相続した人は生産緑地を継続するかどうか選択を迫られる。生産緑地を解除すれば土地の利用制限もなくなり、農地でなくて宅地にしてもよい。
しかし、宅地並みの相続税を支払わなければならなくなり、相当な金額になるのは目に見えているのでおそらく解除は難しいだろう。
さりとて、営農する気がなければ農地として買い手を探すことになるが、そう簡単には見つからないだろう。見つかっても宅地化できない農地だから安い。

このように、指定を解除するのは大変であり、なので、「生産緑地を解除して進入路を確保した場合」という想定が「非現実的」と判断できるのだ。
長くなったが、こういうことなので生産緑地を解除出来るのは、事実上公のみであり、その場合でも公の事業を行う場合のみだ。
公の事業とは、土地収用法に規定されている事業、ということだ。
土地収用法とは。
市が計画決定した場合、その事業に必要な土地を所有している人は、協力して市に売却しなければならないということが眼目の法律だ。で、もし反対して売却を拒めば、強制的に「土地を収用する」、没収することが市には出来るのである。
非常に強力な権限が市にはあるのだ。

なので、市側鑑定士氏も「市民センターみたいなものを建てる用地なのかな、と思った」と述べていたのだ。
市民センター用地ならば、生産緑地指定を解除できるから。
だが、市にはそんな計画があったのか?というと無かった、ことは当委員会の調べで明らかになったのはご存知の通りである。

市は、鑑定士が出した価格に則っている、と強調している。
責任を鑑定士氏になすりつけるつもりかどうか、知らないが、法的には理由にならない。考えが甘すぎる。
買ったのはあくまでも市であり、鑑定士ではないのだ。

長い説明になってしまった。
ちなみに、2010年の住民監査で既に「非現実的な想定でなされた鑑定だ」と指摘されていた。
「土地取得は不当」「価格も不当」とした監査意見と同じ結論に、2年後にようやく議会はたどり着いた訳だ。
このことは、厳しく問われることになるだろう。
監査のあり方も根本から見直さなければならない。

どんどんボロが出てくる。市がやっていることはメチャクチャだ。